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独立系FP 福嶋淳裕のブログ

ソーシャルレンディング投資に伴うリスク

前回、国内債券投資の代替としてのソーシャルレンディングについて、

いま現在、「一定の方々には、ソーシャルレンディングはおすすめしてよい金融商品かもしれない」と私は考えています。 

おすすめできるかどうかは、結局のところ、ソーシャルレンディング特有のリスクを許容できるかどうかだと思います。
ソーシャルレンディングのリスクについては、後日、私の事例も含めて紹介します。

と書きました。

というわけで、今回はこれがテーマです。
なお、記載の順序とリスクの高低は無関係です。

 

  

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1. 為替変動リスク

借り手が海外の案件の場合に発生する為替変動リスクは、「借り手への貸付通貨が外貨建てであるファンド(案件)には出資しない」ルールにすることで回避できます。
ただし、その分、出資検討の対象となるファンド(案件)は減ります。

このルールを少し緩めて、「借り手への貸付通貨が外貨建てであり、かつ、元本(出資金)と利息(分配金, 配当)が為替ヘッジされないファンド(案件)には出資しない」ことにすると(つまり、「『借り手が海外』の案件でも、為替がヘッジされるなら検討の対象にする」ことにすると)、為替変動リスクを完全に回避することはできなくなりますが、軽減することはできます。

もちろん、為替変動リスクを取りたい(運用期間中、その外貨と円の関係において、「外貨高+円安」方向を予想している)という方の場合は、そもそもこのリスクを回避・軽減する必要はありません。


私の場合:

投資信託(外国株式, 外国REIT)の保有で為替変動リスクを十分に取っているため、ソーシャルレンディング投資では為替変動リスクを負いたくありません。

ただ、「借り手が海外」の案件をすべて除外すると検討の対象が減ってしまうこともあり、「借り手が海外」であっても為替ヘッジがあるファンド(案件)は検討の対象にしています。

 

2. 流動性リスク

流動性リスク(中途解約できないリスク)は、延滞が生じて、予定よりもさらに長い期間出資金が拘束される可能性も考慮しつつ、出資金が余裕資金であることに十分注意しながら、同時進行で出資中の総額が大きくなりすぎないようすることで回避できるでしょう。


私の場合:

「運用期間2年前後(22~26ヶ月)を上限として、できれば運用期間が短いものを選ぶ」ようにしています。

また、出資中の総額は、当面の上限として200万円を考えています。

 

3. 信用リスク(カントリーリスクを含む)

信用リスク(倒産、貸し倒れ、元本割れなど)は、出資先を分散することで軽減していくしかありません。

(1) ソーシャルレンディング会社

ソーシャルレンディング会社(あるいはそのグループ会社)が行政処分  <*脚注1>  を受けて出資者が何らかの不利益を被ったり、経営破綻や経営危機によって出資金が戻ってこなかったりすることがありえます。 *1

これらのリスクを回避するには、「ソーシャルレンディングをやらないことにする」しかありません(笑)。

軽減する方法としては、

ことが挙げられます。


私の場合:

行政処分を受けたことがあるソーシャルレンディング会社には、口座を開設していません(グループ会社を含む)。
また、そのような会社に募集などの業務を委託するスキームのソーシャルレンディング会社にも、口座を開設していません。
慎重すぎるかもしれませんが、ソーシャルレンディング投資に伴うリスクの中では、ソーシャルレンディング会社そのものの信用リスクがもっとも怖いと考えているので、今のところこのような選定基準を設けています。

また、運営実績(募集の累計額など)が他社に比べて著しく少ないソーシャルレンディング会社も、創業して間もないことが理由かもしれませんが、とりあえず除外しています。

なお、今回のテーマ(リスク)とは異なりますが、「出金コスト(出資者の指図により、ソーシャルレンディング会社から出資者の預金口座に送金してもらう際の手数料)」の有無は、ソーシャルレンディング会社を選ぶ際の比較項目にしていません。

これらの結果、いま現在、5社に口座を持っています(略して、SSL, CC, TL, OB, Lの5ブランドです)。

(2) ファンド(案件)の借り手

借り手固有の事情による貸し倒れによって出資金を回収できないこともありえますが、これも完全に回避する方法はありません。

軽減する方法としては、

  • 1件あたりの出資金を少額にし、できるだけ多くのファンド(案件)に分散して出資する
  • 借り手が同じであることが明確な、いわばシリーズものへの重複出資は慎重に検討する

ことが挙げられます。


私の場合:

私が利用している5社は、いままでのところすべてのファンド(案件)が「1口 1万円~10万円」なので、一律に「1ファンド(案件)あたり 10万円」と決めて出資しています。

また、借り手が同じであるシリーズものへの出資は、「同時進行で2本まで(つまり、20万円まで)」の上限を設けています。

出資中の総額は、当面の上限として200万円を考えているので、出資中のファンド(案件)の本数は最大20本まで、ということにしてしばらく様子を見ていきます。

(3) 事業内容や地域など、ファンド(案件)の種類・属性

たとえば、「◯◯エリアの高級分譲マンション」とか「◯◯国の◯◯ビジネス」など、ファンド(案件)の種類や属性の事情による貸し倒れによって出資金を回収できないこともありえますが、これも完全に回避する方法はありません。

軽減する方法としては、

  • 事業内容や地域など、できるだけさまざまな種類・属性のファンドに資金を分散させて出資していく(特定の事業内容や地域、あるいはシリーズものに偏らないように出資していく)

ことが挙げられます。

(4) 担保・保証

ファンド(案件)またはソーシャルレンディング会社によって、担保または保証の有無や割合が異なります。
もちろん「全額担保」が安心ですが、担保や保証の個々の内容の正確性や実在性などは、結局のところ、一般の出資者には評価できないと私は思います。


私の場合:

「担保または保証がある(全額または大部分)」ことを重視しますが、これを満たしていないものでも、「シリーズものに限っては、過去に延滞などがなく、かつ、無事に償還された実績があれば、検討の対象にする」ことにしています。 

 

4. 「そもそも応募できない」というリスク

普通の金融商品にはない、かなり異色のリスクですが、前回書いたように、「募集開始後わずか数10秒で出資金が集まり募集終了してしまう」ファンド(案件)があります。

これも一種のリスクですよね?(笑)
期待どおりのリターンを得られるかどうか以前に、運用を始められないわけですから...。

ただ、私が利用している5社の中で、「募集開始後わずか数10秒で出資金が集まり募集終了してしまう」経験をするのは、いままでのところ特定の1社だけです。

(1) 募集予告メールを適時に読めない

新たに出資者を募集するファンド(案件)については、募集開始の数時間前ないし数日前、ソーシャルレンディング会社から募集予告メールが届いて知ることになります。

募集予告メールを適時に読めないと、募集終了までに応募できないかもしれません。

ですので、メールに気づいたら、まず、募集開始日時を確認します。
募集開始時間までに余裕がない場合は、この時点でファンド(案件)の概要をざっと確認し、申し込みたいかどうかを即決し、スマホのカレンダーなどに募集開始時間をインプットします。

(2) 出資金の振込や入金確認が間に合わない

ソーシャルレンディング会社(またはファンド)によって、

  • 前払い制(あらかじめ出資金を振り込んでおかないと応募できない方式)か
  • 後払い制(応募したあとでないと出資金を振り込めない方式)か

が異なります。

前払い制の場合で、かつ、たまたま預けている資金がない状態のときに、申し込みたいファンド(案件)の募集予告メールを受け取ってしまったら、即座に出資金を振り込む必要があります。

振込の指図タイミングによっては、募集終了までに応募できないかもしれません。

(3) 応募に必要なデバイスが手元にない

応募には、PC, スマホ, タブレットなど、Webをブラウズできるデバイス、またはソーシャルレンディング会社のアプリをインストールしたスマホタブレットが必要です。

募集開始時間にこのようなデバイスが手元にないと、募集終了してしまうかもしれません。

(4) 応募操作の途中でエラーが発生する

特定の某社における最難関、ラスボスです(笑)。

募集開始時間の直前にログインし、時計を凝視しつつ、59分が00分に変わると同時にスマホでタップを繰り返し、応募操作を進めていきます。

ところが、操作開始直後、「アクセス殺到」を理由とするエラーメッセージが表示され、慌ててログインからやり直すことがあります。
そして数10秒後、ようやくログインできてホッとした瞬間、「募集終了」という文字列が見えてガックリ、ということを、私の場合は特定の某社で2回に1回くらいの確率で経験しています。

集中アクセスに耐えられないITシステムでサービスを提供し、「無事に応募できるかどうかは運次第」というのは、ある意味、公平かもしれません。
ですが、ユーザーとしてはストレスがたまります。
是非ともITシステムを改善していただきたいと思います。

 

*1:実際、業務改善命令や業務停止処分などを受けたことがあるソーシャルレンディング会社は、調べればすぐ見つけられます。このあたりは、仮想通貨などと同じく「新参者」の段階ということだと思います。