あなたの家計は 100歳まで もちますか?

独立系FP 福嶋淳裕のブログ

マッチング拠出 iDeCo 選択可?

「企業型 確定拠出年金(企業型DC)のマッチング拠出」と「個人型DC(愛称 iDeCo)」の関係見直しに関する情報を得ました。

 

f:id:Free_Spirit_19790714:20190706104657p:plain

 

情報によれば、厚生労働省は、「マッチング拠出を導入している企業型DCの加入者が、マッチング拠出と個人型DC(iDeCo)のどちらを利用するか選ぶことができるよう、規制の緩和を検討している」そうです。

これが実現すると、(マッチング拠出を導入している)企業型DCの加入者は、「自分に有利な方を選んで、自分のお金を掛金として拠出できる」ようになります。

該当する方、特に若い方ほど朗報ですね。

 


 

1. マッチング拠出とは

企業型DCのマッチング拠出とは、「会社(事業主)が負担(拠出)する掛金に上乗せして、希望する社員(加入者)個人が掛金を拠出できる仕組み」です。

マッチング拠出を利用できるか否かは、加入している企業型DCの規約によります。

2. マッチング拠出に対するこれまでの不満

マッチング拠出を利用して加入者個人が拠出できる掛金の額には、「企業型DCの掛金上限の範囲(最大5.5万円/月)で、事業主掛金を超えない額であること」という制限があります。

加入者ごとの事業主掛金の額は、加入者の給与や等級・資格・グレードなどを基準に決定する方式が一般的です。

この場合、若手社員などは給与、つまり事業主掛金がまだ少ない人が多いため、本人が積極的にマッチング拠出したくても、事業主掛金の額までしか拠出できません(たとえば、数千円/月)。このため、「わずかな額しか拠出できない」との不満を抱えてきました。

3. 現状、企業型DCとiDeCoの併用はほぼ不可

2017年、法令上は企業型DCの加入者もiDeCoに加入できる(併用できる)ことになりましたが、実務上は労使合意による規約変更が必要です。

併用可能の要件を満たすためには、単に「企業型DCの加入者は、iDeCoに加入することができる」旨の文言を規約に追加するだけでなく、「事業主掛金の上限(掛金がもっとも高い加入者の掛金額)が3.5万円/月以下である」必要があります。

ところが多くの会社では、企業型DCの掛金の上限(5.5万円/月)を意識して制度を設計したため、掛金がもっとも高い加入者の掛金額が3.5万円/月を上回るケースが多いようです。

この場合、企業型DCの規約だけでなく、会社の退職給付制度や、場合によっては人事制度の見直しも必要となることから、ほとんどの会社(厚生労働省の資料によれば、約96%)は、自社の企業型DCの加入者がiDeCoを併用すること(企業型DCに加えてiDeCoに加入すること)を認めていないのが現状です。

 

4. 厚生労働省が検討している(らしい)内容

厚生労働省は、企業型DC加入者には認めていないiDeCoへの加入を、条件なしで認める方向で検討しています。

この検討に含まれる形で、今回の記事のテーマ(マッチング拠出導入済みの企業型DCの加入者は、マッチング拠出とiDeCoのどちらに掛金を拠出するか、本人が選択できるようにする)が検討されているそうです。

加入者がマッチング拠出ではなくiDeCoを選択する場合、事業主掛金との合計が企業型DCの掛金の上限(5.5万円/月)を超えない範囲で、最大2万円/月までをiDeCoに拠出できるようにする方向のようです。