1/20、通常国会が招集されました。
今回の国会には、現役世代の老後生活設計に大きく影響する法案がいくつか提出されると聞いています。
まずは、厚生労働省が提出する予定の年金改革法案を確認しておきましょう。テーマは5つです。
目的
- 働き方の多様化や高齢期の長期化(長寿化)を踏まえ、現役世代の将来の老後生活における経済基盤の充実を図る。
法案の名称
- 仮称「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案」(略称は「年金機能強化法」?)
施行の時期
- 一部の規定を除いて、2022/4/1施行を予定。
①厚生年金の加入対象を広げる被用者保険の適用拡大
- 厚生年金に加入できる短時間労働者を増やすべく、短時間労働者の基準を見直す。
- 厚生年金の任意適用対象とされている従業員数5人以上の個人事業所のうち、法律や税務、会計事務を扱う「士業」は適用業種とする。
- 公務員共済の短期給付(会社員の健康保険に近い制度)も短時間労働者に適用する。
②在職中の年金受給の在り方の見直し
- 65歳以降に働いて(おおむねフルタイムで雇われて)厚生年金保険料を納めている人の年金額を毎年増額させる「在職定時改定」を導入する(現行のルールでは、65歳以降の加入期間分は退職後にまとめて増額されるが、これを、働いている間に毎年増額されるようにする)。
- 働くと(おおむねフルタイムで雇われると)厚生年金が減額される「在職老齢年金(在老)制度」の対象年齢のうち、60~64歳(低在老)を見直す(厚生年金の減額が始まる基準[賃金と年金の合計額]を、現行の「月額28万円」から「月額47万円」に引き上げる)。
③受給開始時期の選択肢の拡大
- 本人が選択する公的年金の受給開始時期を、現行の「60~70歳」から「60~75歳」に拡大する。
④確定拠出年金(DC)の加入可能要件の見直しなど
- 法令上、DCに加入できる期間(年齢の上限)を、企業型DCは現行の「65歳」から「70歳」に、個人型DC(iDeCo)は現行の「60歳」を「65歳までの公的年金加入期間」に変更する(企業型DCは、そもそも労使で決める規約次第。iDeCoは、国民年金に「任意加入」できる期間、または、厚生年金に加入できる65歳までの期間、が上限となる)。
- 中小企業向けのDC普及策(企業型DCの事務手続きなどを簡素化した「簡易型DC」と、iDeCoに加入する従業員に事業主が掛金を上乗せする「中小事業主掛金納付制度」)の対象企業要件を見直す。
- 企業型DC加入者のiDeCo加入要件を見直す。
⑤その他
この案のまますんなりと決まるのか、あるいは、どういう人が反対してどのように修正されるのか、しっかりと見ていきましょう。
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