「あなたの家計は 100歳まで もちますか?」
というタイトルで、私は普段「お金」に関連する記事を投稿していますが、人生において(特に人生の後半において)もっとも大切なことは「生きがい」であり、これを支える基盤が「お金」と「健康」だと思っています。
私がリタイアメントプランニングをテーマに講師をするとき、「平均寿命」「平均余命」とともに「健康寿命」について取り上げることがよくあります。
平均寿命と平均余命が毎年発表されるのに対し、健康寿命の発表は3年ごと。
少し前の話ですが、昨年末、厚生労働省から最新の健康寿命が発表されました。
- 平均寿命とは「0歳における平均余命」のこと。
つまり「死因にかかわらず、生まれてから死ぬまでの時間の平均」です。
不幸にも幼くして亡くなったお子さんや若くして亡くなった方を含めた平均ですので、いま生きている私たちは平均寿命より長生きする人のほうが多くなるはず、ということになります。 - 平均余命とは「x歳における生存者が、x歳以降に生存する年数の平均」のこと。
つまり「ある年齢の人が、そのあと何年生きられるかの期待値」です。
たとえば、現在40歳の男性であれば「あと43年くらい生きるだろう」、現在70歳の女性であれば「あと20年くらい生きるだろう」などのように、年齢・性別ごとに計算された値です。
したがって、平均寿命より参考になります。 - これらに対し健康寿命とは、「平均寿命」から「寝たきりや認知症など、介護状態の期間」を差し引いた期間のこと。
言い換えると「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」です。
では、健康寿命の過去データ(初回は2010年)と、昨年末(2021年12月)に発表された最新データ(2019年)を、平均寿命とともに比較してみましょう。
男性
平均寿命 | 健康寿命 | 介護期間 | |
2010年 | 79.55 | 70.42 | 9.13 |
2013年 | 80.21 | 71.19 | 9.02 |
2016年 | 80.98 | 72.14 | 8.84 |
2019年 | 81.41 | 72.68 | 8.73 |
いかがでしょうか?
平均すると日本の男性は「73歳前後で何らかの介護が必要となり、約9年後に寿命を迎える」といえます。
- たとえば60歳の定年退職などで仕事から引退した場合、それから13年間は、いわゆる余生を楽しめます(趣味・遊び100%もよし、ほどほどに働くもよし、ボランティア・社会貢献もよし。カラダとアタマの両方を[資産寿命に気をつけながら]自由に使えます)。
- 他方、仮に70歳までフルタイムで働き続けてから引退すると、カラダとアタマの両方を不自由なく使える時間は、3年しか残っていないことになります。
女性
平均寿命 | 健康寿命 | 介護期間 | |
2010年 | 86.30 | 73.62 | 12.68 |
2013年 | 86.61 | 74.21 | 12.40 |
2016年 | 87.14 | 74.79 | 12.35 |
2019年 | 87.45 | 75.38 | 12.07 |
女性は男性に比べて平均寿命も健康寿命も長いのですが、介護期間も長く約12年!
軽々しく話題にできないため控えますが、家族の負担は長期にわたります...。
日本はすでに「男性10人のうち1人は95歳まで生きている社会、女性に至っては10人のうち3人が95歳まで生きている社会」です。
厚生労働省は平均寿命と健康寿命の差(上の表でいうところの「介護期間」)をできるだけ短くすることを目指しており、確かに毎回、少しずつですが短くなっています。
とはいえ現時点においては、人生100年の家計戦略を考えるうえでも、「介護期間が男性で約9年、女性は約12年ある」という最新統計は、視野に入れておくべきでしょう。