確定拠出年金(企業型DC、個人型DC[愛称 iDeCo])の改正項目が順次施行されています。
それらのうち、会社員の多くの方が関係しうる「加入可能年齢の拡大」と「企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和」の2項目について、あらためて取り上げます。
※印部分は私個人の感想です。
2022年5月1日施行「加入可能年齢の拡大」
- 企業型DC
企業の労使が合意して規約に定めれば、加入可能年齢(上限年齢)をこれまでの「65歳未満」から「70歳未満」まで拡大可能に。
※多くの企業にとっては、定年退職年齢の引き上げまたは定年制度の廃止を含む人事制度大幅改定、人件費構造変化につながるでしょうから、なかなか難しいのではないでしょうか。 - iDeCo
これまでの「60歳未満」に、「60歳以上65歳未満までの国民年金第2号被保険者または任意加入被保険者」を追加。
※企業型DC加入者の多くにとって、後述のとおり、これまでiDeCoは無縁な制度でした。これからは「60代前半の一定期間までのiDeCo加入」が選択肢の一つになってきます。 - 注意事項
① 企業型DCの老齢給付金を受給した人は、企業型DCには再加入できない(iDeCoへの加入は可能)。
※たとえば、60歳到達とともに企業型DCの加入者でなくなる規約の会社員の場合、60歳で企業型DCの老齢給付金を受給したのち、あと数年間iDeCoに加入する、などが可能になります。
② iDeCoの老齢給付金を受給した人は、iDeCoには再加入できない(企業型DCへの加入は可能)。
③ 老齢基礎年金または老齢厚生年金の請求(原則65歳)を65歳前に繰り上げた人は、iDeCoには加入できない。
④ 特別支給の老齢厚生年金の請求を本来の年齢(性別・生年月日により異なる)より前に繰り上げた人も、iDeCoには加入できない。
2022年10月1日施行「企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和」
- これまでは、ごく一部の企業を除き、企業型DC加入者の多くはiDeCoに加入(同時加入、併用)できなかった(労使合意による規約変更のハードルが高いため)。
- これからは、規約変更なしでも、企業型DC加入者は原則としてiDeCoにも加入可能となる。
※企業型DC加入者にとって念願の改正点です。ただし、次の注意事項のとおり、「余計なお世話」的な逆差別規定がついています。 - 注意事項
① 企業型DCでマッチング拠出(加入者掛金の拠出)を選択している人は、iDeCoには加入できない。
※つまり、「マッチング拠出かiDeCo加入か(はたまたいずれも利用しないのか)を企業型DC加入者本人が選ぶ」ということです。マッチング拠出とiDeCo加入の両方を認めれば、とてもシンプルでわかりやすいと思うのですが。
② 企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金が各月の拠出限度額の範囲内での各月拠出となっていない人は、iDeCoには加入できない。
※加入者掛金の拠出限度額は本人(および企業)によって異なり、パターンはとても複雑です。こんなところで細かく逆差別せず、一本化すればわかりやすくなり、iDeCoはさらに普及すると思うのですが。
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