あなたの家計は 100歳まで もちますか?

独立系FP 福嶋淳裕のブログ

ある会社員の金融資産残高推移(1999/4/30~2021/3/31)

退職予定日まであと2年!
金融資産残高は5,600万円に。

時季が来ましたので、私の金融資産残高の推移を3カ月ぶりに点検しました。
3カ月前の記事を複製したうえで、今回更新した部分をにしていますので、お急ぎの方は赤いところだけお読みください

 

 

家計における「金融資産」の定義:

現金・預金、株式・出資金、株式以外の国債投資信託などの証券、金融派生商品、保険準備金・年金準備金、ゴルフ場への預託金などの預け金等、対外証券投資を含む対外債権等

出典:フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』


この記事における「金融資産」の前提:

  • 現金のほか、銀行, 証券会社, ソーシャルレンディング会社の口座残高です。私名義の金融資産に限定し、パート・アルバイト収入がわずかにある配偶者のものは含みません。
  • 貯蓄型の生命保険や個人年金保険は持っていません。
  • 「企業型DC(確定拠出年金)」の残高を含めるか否かについては、分析の趣旨によって変えています。

 

 

1. 私の投資手法

2001年からさまざまな投資・投機を試行錯誤し、数々の大失敗を経験。
リーマン・ショックなど、紆余曲折を経てたどり着いた投資手法は、

です。
私はこれを資産運用の中心・中核(コア戦略)とし、「分散・節税・低コスト投資」と呼んでいます。

成果を感じ始めたあと、理論的な裏付け・確証を得るため資産運用に関連する資格を取得したり、偶然、年金基金の運営に携わることになったりした結果、「一般個人の金融資産運用と年金基金の年金資産運用は、税制や金融商品の違いを除けば本質的には同じである」という結論に達しました。

プロ向け(機関投資家向け)資産運用ビジネスの業界では、「年金基金による年金資産運用が資産運用の標準的な方法」とされています。
であるならば、一般個人も、年金基金の運用基本方針を理解したうえで資産運用するほうがよいと思いませんか?

「分散・節税・低コスト投資」は、

  • 「世界各国の年金基金の多くが何らかの形で採用している現代(近代)ポートフォリオ理論と、日本国内の個人向け税制優遇措置(DC, NISA)の要点を理解し、
  • アセットアロケーション(資産の配分)とアセットロケーション(資産の置き場所)が『そこそこ』適切であれば、合理的に資産形成できるはずだ」という考えに基づき、
  • 「インデックス型の投資信託を買い増していく」

という、単純かつ手間のかからない投資手法です(節税と乗り換えの目的で売却することはあります)。

なお、私の運用目的は「老後資金形成」です。

「長生きしたい」とか「(金銭的な意味で)贅沢したい」などの気持ちはないのですが、「将来、自分または配偶者が想定以上に長生きしてしまっても、お金に困ることがないよう、無理のない範囲で準備しておきたい!」、ただそれだけです。

 

2. 資産配分比率(20213月末)

資産区分 比率 連動を目指す指数
①国内株式 14% 日経225, TOPIX
②先進国株式 15% MSCIコクサイ
③国内REIT 14% 東証REIT
④先進国REIT 13% S&P先進国REIT
安全資産 44%  

企業型DCを含みます。
(企業型DCを含めて1つのポートフォリオだから)

  • ①~④はリスク資産で、それぞれ単一または複数のインデックス型投資信託によって構成されています。
  • 安全資産の内訳は、「現金」「預金」「個人向け国債(変動10年)」「ソーシャルレンディング会社の口座残高」です。
    ソーシャルレンディング投資にリスクがあることは承知のうえで、「価格(時価)」という概念がないことから、便宜上、安全資産に区分しています。
  • 1~3月期は、リバランスを兼ねてDC出口戦略を粛々と実行するだけの、穏やかな四半期でした。

 

3. 年間運用損益(2021/1/1~3/31

リスク資産(投資信託)は、次の2カ所に置いています。

  • SBI証券の特定口座とNISA口座
    直販投信を含め、以前は複数の金融機関で投資信託を運用していましたが、2011年までにSBI証券1社に集約しました。
  • 企業型DC
    2004年に勤務先が導入し、加入しました。


以下、本年分の運用損益を「トータルリターン」で測定してみます。

トータルリターン = ①評価金額 + ②累計受取分配金額 + ③累計売付金額 - ④累計買付金額

 

(1) コア戦略

前述の「1. 私の投資手法(分散・節税・低コスト投資)」です。


SBI証券における年間トータルリターン

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  • 1~3月は +11.88%でした。


②企業型DCにおける年間トータルリターン

私が加入している企業型DCの運営管理機関は投資信託のトータルリターンを提供していませんので、自分で計算しました。表の体裁はSBI証券に合わせています。

  • 下の表のDは掛金の額です。
  • DC出口戦略に基づくスイッチング(投資信託の売りと定期預金の買い)は、BとDに表示していません。
A評価金額 B累計売却金額
C累計分配金額
D累計買付金額
E前年末評価金額
トータルリターン
(A+B+C)-(D+E)
2021

7,380,662

0
0

81,000‬
6,761,463

+538,199
+7.96%
  • 1~3月は +7.96%でした。
  • DC出口戦略に沿って、
    ①毎月、投資信託の一定の口数を定期預金にスイッチングし、
    ②掛金のすべてを定期預金に割り当てていることから、
    企業型DCにおけるボラティリティ、正負のリターンは、ゼロに向けて徐々に小さくなっていきます。
    現時点で定期預金の比率は44%まで増加しており、この項目(②企業型DCにおける年間トータルリターン)を算出する意味が次第になくなっていくことから、定期預金の比率が50%を超えたら、この項目の掲載をやめようと思います。 

(2) サテライト戦略

コア戦略以外の取引や保有分をサテライト戦略と称しています。

内容 実現損益
(税引前)
現在の運用状況
株式(現物)の短期売買 - なし
個人向け国債(変動10年)の利金 2,000 運用中(元本 800万円)
ソーシャルレンディングの分配金 20,616 運用中(元本 約163万円)
  • ソーシャルレンディングのうち、懸案のトラストレンディング(Trust Lending)は、訴訟の一つに勝訴したようですが分配の再開や償還には程遠く、さらには2021年3月、業界大手であるSBIソーシャルレンディングのファンド(案件)の一つに分配遅延が生じました。
    これまで5社に口座を開設して取引してきましたが、Trust Lendingは完全に焦げ付き、SBIソーシャルレンディングでも分配遅延が発生。
    なかなか難しい分野だと痛感しています。
    退職までの2年以内に撤退するかもしれません。
  • 個人向け国債(変動10年)は、もともとは金利上昇リスクに対応できる安全資産として選んだものですが、金利は一向に上がらず...。
    2020年12月に発生した相続により亡父から引き継いだ借入金の、返済原資の一部に回す方向に気持ちが傾きつつあります。

 

4. 金融資産残高の推移(1999/4/30~2021/3/31

レバレッジをかけた資産や外貨建て資産を含めたこれまでの運用成績を、まとめて(1枚で)お見せする良い方法を思いつきません。

そこで、収入や支出、負債の返済、リスク資産の値動き等々、私のすべての経済的活動の結果である「金融資産残高の推移の棒グラフ(月次)」を掲載します。

 

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1本の棒の高さは、その月の末日時点の金融資産残高を表しています。

この金融資産には、企業型DCを含みません。
(企業型DCの掛金は収入[給与所得]ではなく、
出金もできないアンタッチャブルな資産だから。
将来、受給時に収入計上[退職所得 or 雑所得])

したがって棒の高さは、その月の

      • 収入(ほぼ給与のみ、月によっては賞与も)
      • 支出(税・社会保険料、住宅ローンの返済を含む、すべての支出)
      • 運用損益(実現損益+月末の時価による評価損益)

によって変動します。

ただ、給与・賞与は、暦年でみると、(会社の経営事情によりガクンと下がった2012年を除けば)この約20年の間、それほどは変わっていません(涙)。

給与・賞与収入が(2012年以外は)おおむね同じ水準だったということは、棒の高さの中長期的な変動要因は、

      • 支出の(内容や金額の)変化= 貯蓄率の変化

        住宅ローンや子どもの教育費の変化、一時的な高額支出など

      • 運用損益(実現損益+評価損益)

といえます。

上のグラフ、中央わずかに左の「レ」の形の凹みが、株式の信用取引など「無茶」していた頃のリーマン・ショック(2008年秋)です。

リーマン・ショックより左側にもガクンと低くなっている棒が数本ありますが、これらは住宅ローンの繰り上げ返済による金融資産残高の減少です。

右上のV字型の凹みが2020年3月のコロナショックです。

2021年3月期の特記事項(2020年12月に発生した相続の影響)

  • 資産:相続した少額の預金は2021年1月の棒に含まれる
  • 負債:返済額(元利合計)は、支出の一種として2月以降の棒に含まれる
  • 収入:不動産収入は1月以降の棒に含まれる
  • 支出:負債の返済額に加え、不動産収入に伴う経費は1月以降の棒に含まれる

 

以上、参考になるかどうかわかりませんが、「ある会社員の家庭の実例」として投稿しました。