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独立系FP 福嶋淳裕のブログ

iDeCo掛け金、70歳未満まで

昨日、日本経済新聞から「iDeCo掛け金、70歳未満まで 厚労省が5年延長方針」という特報が出ました。

2022年11月28日に新しい資本主義実現会議が決定した「資産所得倍増プラン」においては、「第二の柱」として「加入可能年齢の引上げなどiDeCo制度の改革」が明記されていました。いよいよ2025年の法改正を目指した動きが本格化します。

  • 個人型確定拠出年金iDeCo、イデコ)加入可能年齢(掛金を拠出できる期間)の引き上げ【現状の「65歳未満」を「70歳未満」に引き上げる方向性は事実上確定済み】
  • 掛金の上限額の引き上げ【方向性を議論中】

上限額引き上げの方は「決め」の問題だと思います。必要以上に公平性に気を使った結果、働き方や勤務先によって掛金の上限額が異なるこれまでの複雑な仕組みを改め、NISAのようにシンプルに、全員一律の上限額になることを希望します(加入のハードルを下げるためにも、公平性より、わかりやすさを重視すべきでは、という意見です)。

難しいのは加入可能年齢引き上げの方でしょう。現状は「65歳未満」ですが、実際には「国民年金の被保険者であること」をはじめ、さまざまな要件を満たす期間しかiDeCoに加入できません。「70歳未満」に引き上げるとなると、一部の会社員などを除いた60代後半の多くの人は、すでに国民年金の被保険者ではなくなっています。65歳を超えて加入可能年齢を引き上げるには、「iDeCoを含む私的年金は、公的年金の上乗せの制度である」「iDeCoの加入対象者は、国民年金の被保険者(の一部)である」という根本的な建て付けを見直す必要が出てきます。

65歳以降の具体的な加入要件について、厚生労働省が公開した意見を以下に抜粋します(2024年2月27日「第32回 社会保障審議会 企業年金個人年金部会」資料より)。

  1. 国民年金の保険料の納付を十分に行ってきて、これ以上納付ができない人について認めてはどうか。
  2. 国民年金を受給しながらiDeCoにも拠出できる人まで範囲を広げなくてもよいのではないか。
  3. 公的年金と相まって」の意味を、公的年金の上乗せの自助努力を促すという点から捉えれば、必ずしも保険料納付済期間を資格要件にしなくていいのでは。
  4. 実際に運用する際の事務的な負担や加入者にとっての分かりやすさを重視すべき。
  5. 私的年金制度を働き方や勤め先の違い、年金の加入状況によって有利、不利が生じないシンプルな制度とすることが重要。

個人的な賛否としては次のとおりです。

  1. 賛成(加入できる人が増えるという意味で)
  2. 反対(加入したい人には、できるだけ加入を認めるべき)
  3. 賛成(加入できる人が増えるという意味で)
  4. 賛成(完全に同意見)
  5. 反対(公平性とシンプルさは両立せず、矛盾または非現実的。シンプルな制度とすることには大賛成だが、そのために生じる有利、不利は仕方ない。新NISA同様、制度の利点を理解し、自己資金を投じて取り組んだ人が果実を得るべき)

今年は5年ぶりに財政検証が行われる年ですので、来年にかけ、年金制度関係のニュースが増えるでしょう。