あなたの家計は 100歳まで もちますか?

独立系FP 福嶋淳裕のブログ

定年,定年後,アーリーリタイア

歴史的な10連休の時間を利用して(笑)、平成最後の日に「定年, 定年後, アーリーリタイア」に関する雑文を投稿します。

 

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1. 定年

(1) 定年がない人

自営業・フリーランス個人事業主や、法人成りした人、農業、開業医の方などに「定年」はありませんよね。
ご自身のやる気や体力、さらには認知能力が衰えるまで、お仕事を続ける方が多いのではないでしょうか。
各種法人のいわゆる役員や大学の教授なども、周囲が許せば同様でしょう。

(2) 定年がある人

他方、普通の会社員や公務員には厳然とした「定年」があります。
自衛官などは55歳前後であったり、一部の会社では65歳であったり、なかには定年制がない先進的な会社もあるようですが、大部分の会社員・公務員は60歳で強制的に定年となり、いわゆる正社員・正規雇用職員としての雇用関係が終了して「退職」します。
そして本人が事前に希望しておけば、60歳の定年退職と同時に「再雇用(再任用, 雇用延長, 継続雇用)」されます。
公務員の再任用はともかく、民間企業の再雇用(雇用延長, 継続雇用)の場合、ほとんどは1年更新の契約社員の身分となり、給与・賞与は激減します。
その後65歳で再雇用を終了する会社が多いようです(従業員を65歳まで雇えば、経営者は法令を遵守したことになります)。

(3) 他の国では

欧米では、「定年 = 年齢差別(年齢の高低を理由に行われる差別)」という認識のもと、1967年に米国が、1970年代までにカナダのすべての州が、2006年にはEUのすべての加盟国が、年齢差別を禁止する法律を制定しているそうです(Wikipediaによる)。
先進国を「日米欧」と表現することがありますが、定年制は、日米欧においては日本独自の慣習のようです。

 

2. 定年後、またはアーリーリタイア

「定年がある人 ≒ 被用者(誰かに雇われている人)」と仮定して、

  • 働く意欲
  • 働く必要

で分けて考えてみると...

(1) 働きたいが、働けない人

内閣府高齢社会白書」平成30(2018)年版によれば、55~59歳の男性で、「就業可能で就業を希望し求職中の人(完全失業者)」は、2.4%とのことです。
1日も早く就業できることをお祈りします。

(2) 働きたくて、働く人

一億総活躍社会
「今の仕事が天職と言える人」、またはそこまでは言えずとも、「それなりにやりがいや達成感、満足感を感じていると言える人」は、定年まではもちろん、定年後も許される限りできるだけ長く働くことが、ファイナンシャルプラン的にも、精神的な健康面でも、おそらくは肉体的な健康面でも最善でしょう。 

前回の記事のように、各種年金の「加入期間を延長する」方向の制度変更が議論されていますので、働き方によっては、将来受け取れる年金の額も増やせます。

freespirit1979.hatenablog.com

(3) 働きたくないが、働く必要がある人

人生100年時代
長寿化が進行し、社会保障制度や税制などの変更が重なる中、「老後資金が足りない人」や「老後資金に不安がある人」は、働きたくなくても働かざるを得ませんよね。
やりたくないことをやり続けるわけですから精神的な健康を害さないよう気をつけつつ、ファイナンシャルプラン的にある程度のめどがつくまで働くことが最善でしょう。
フルタイム勤務が体力的に難しくなれば、月数万円のアルバイトであっても、長く続けることで家計を改善できます。

上記(2)と同じく、働き方によっては、将来受け取れる年金の額も増やせます。

(4) 働きたくなく、働く必要もない人

上記2.(1)、内閣府高齢社会白書」によれば、55~59歳の男性の非労働力人口は6.3%とのことです。
労働力人口とは、「就業者」でもなく「完全失業者」でもない人の数とのことですので、「通学(つまり学生)」「家事(専業主夫? 介護離職?)」「その他(たとえば、50代後半で就業能力があるにも関わらず、働く意思がない人)」ということになります。

「一億総活躍社会」「人生100年時代」などと言われる中、「アーリーリタイア」を、あるいは「セミリタイア」を声高に表明しづらい空気はあるかもしれません(「経済的独立, Financial Independence」というほうが聞こえがよいかもしれませんね)。
しかしながら、たとえば、

  • これまでの人生で自分なりに働き(つまり、自分なりに社会に貢献し)、
    かつ、
  • 「想定寿命までの家計が何とかなりそうな見通しが立った人」の中で、
    もし、
  • そろそろ、もう働きたくない(雇われたくない)と思う

のであれば、同世代の進路選択に同調することなく、働く(雇われる)ことをやめてもいいのではないか、と思います(Amano-jack的な考えかもしれませんが)。

 


 

上記2.の(3)に該当しそうな方も、(4)に気持ちが傾きそうな方も、想定寿命をできるだけ長めに設定したうえで、家計(金融資産残高)の推移をシミュレーションしてみてはいかがでしょうか。