2/4、政府は「高年齢者雇用安定法」などの改正法案を閣議決定しました。
内容は「従業員が希望すれば70歳まで働けるよう、企業に努力義務を課す」というものです。
以前の私の記事(下記)に比べると、企業の選択肢の例示が一つ減ったようですが、法改正に向け、ほぼ同じ内容で進行しているようです。
2019-05-18 70歳雇用、企業に努力義務?
今回閣議決定された法案は、「高年齢者雇用安定法」のほか、「雇用保険法」など6本の改正案を束ねており、今国会で成立すれば、2021年4 月からの実施とのことです。
本件の所管も厚生労働省です。
では、要点を確認しておきましょう。
前回
「希望する従業員全員を65歳まで雇う」ことを企業に義務づけた。選択肢は3つ。
- 定年廃止
- 定年延長
- 再雇用制度の導入
結果、大多数の企業は 3. を選択しました(定年退職者限定の契約社員制度などを新設)。
今回の改正案
「70歳までの就業機会の確保」を企業の努力義務とし、選択肢を追加する。
- 定年廃止
- 定年延長
- 再雇用制度の導入
- フリーランス契約への資金提供
- 起業支援
- 社会貢献活動参加への資金提供
ご参考:厚生労働省の資料
雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要
改正の趣旨
高齢者、複数就業者等に対応したセーフティネットの整備、就業機会の確保等を図るため、雇用保険法、高年齢者雇用安定法、労災保険法等において必要な措置を講ずる。
改正の概要
1.高齢者の就業機会の確保及び就業の促進 (高年齢者雇用安定法、雇用保険法)
① 65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置(定年引上げ、継続雇用制度の導入、定年廃止、労使で同意した上での雇用以外の措置(継続的に業務委託契約する制度、社会貢献活動に継続的に従事できる制度)の導入のいずれか)を講ずることを企業の努力義務にするなど、70歳までの就業を支援する。 【令和3年4月施行】
② 雇用保険制度において、65歳までの雇用確保措置の進展等を踏まえて高年齢雇用継続給付を令和7年度から縮小するとともに、65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置の導入等に対する支援を雇用安定事業に位置付ける。 【令和7年4月施行・令和3年4月施行】
「2021年4 月実施」となると、各企業の人事部にとっては、経営者の意思決定に向けた段取りや諸規程の変更などはもちろんのこと、新たに追加される選択肢を選ぶことになった場合、その具体的な業務プロセスの整備に充てられる準備期間は、1年あるかないか、ということになります。
大変ですな...(笑)