最近、たまたま、
- 2019-04-28「年金加入期間が延長される?」
- 2019-04-30「定年,定年後,アーリーリタイア」
- 2019-05-12「公務員の定年が65歳に?」
と、続けて投稿しましたが、5/15から5/16にかけて、次のような報道がありました。
70歳雇用、企業に努力義務
~政府、起業支援など7項目~
- 政府は15日、希望する高齢者が70歳まで働けるようにするための高年齢者雇用安定法改正案の骨格を発表。
- 企業の選択肢として7項目を挙げた。
- 70歳まで定年を延長するだけでなく、他企業への再就職の実現や起業支援も促す。
- 企業は努力義務として取り組まなければならなくなる。
「人生100年時代」「一億総活躍社会」「生涯現役社会」...。
この流れの新たな施策でしょう。
おそらく、反対意見は少ないと想像します。
とりあえず注目すべき点は、「企業の選択肢として7項目を挙げた」点です。
「7項目」については、次のリンクで確認できます。
以下、私の雑感です。
現行法:
次の1~3のいずれかの選択により、希望する社員の全員を、企業は65歳まで雇用する義務がある。
- 定年延長(定年年齢の引き上げ)
この数年で定年を65歳に延長した企業や、もともと65歳(以上)の企業は、経営者が従業員とその家族のことを大事に思っている、素晴らしい会社だと推察します。または、外資100%で、本国の人事制度に倣っているのかもしれません。 - 定年廃止
「1. 定年延長」よりもさらに、経営者が従業員とその家族のことを大事に思っている、もっとも素晴らしい会社だと思います。高齢者が働きやすい仕組みと、若手・中堅社員に不満を感じさせない仕組みなど、老若のバランスが取れた人事制度を構築できているのかもしれませんね。または、1.と同じく、外資100%で、本国の人事制度に倣っているのかもしれません。 - 契約社員や嘱託などによる再雇用
これを選んできた会社(経営者および人事部)は、1.や2.と異なり「普通の会社」です。この選択を批判する気はありませんが、以前書いたように、定年後に再雇用される契約社員は、激減する給与や、望まない職場への配置転換、後輩世代からの冷たい視線、ほぼゼロになる発言力や影響力、等々を仕方なく受け入れて、(私が感じる限りにおいては)元気なく働くことになります。
法改正で実現?:
企業の義務ではなく「努力義務」とする方向。
上の3つは、これまでの65歳を70歳に引き上げることを「努力義務」とするものです(「定年廃止」は、定年そのものがなくなるので意味合いが少し違いますが)。
下の4つが新たに「努力義務」の選択肢として企業に課される方向のようです。
1.と2.は、今でもできていない「普通の会社」には難しいでしょう。
3.は、厳しい要件を満たす(いわゆる超バリバリの)人だけを対象に、すでに実施している「普通の会社」もあります。ただ、「希望者全員」ではないので、改正法に対応できるとはいえないでしょう。
4.は、会社が職業紹介(人材紹介)事業者と契約して、「ご希望の方はご利用ください」と告知して終わりそうですね。
5.は、金額はともかく、「フリーランス進路選択支援金」制度のようなものを作って終わりそうですね。一種の退職金です。
6.は難しいです。社員がその会社で得たスキルや知識が老後の起業に適しているかどうかによって、つまりその会社の業種や、その人の業務経歴・専門分野によって異なるのでしょうね。60代後半で起業を希望し、かつ、起業に向くタイプの人がどれだけいるのかにもよるでしょう。
7.はよくわかりません。5.と同じく、会社がお金を出して終わり、という印象です。
- 「アーリーリタイア」どころか、「定年(60歳)リタイア」でさえ、周りから白い目で見られる時代が来る のかもしれません...(家族からも)。
- 日本に対してゴールポストを動かし続ける国があります。それとは別次元のテーマですが、日本の会社員・公務員にとってのゴールポストである「定年」、あるいは「完全リタイアメント」が、どんどん先に逃げていく気がします...。