あなたの家計は 100歳まで もちますか?

独立系FP 福嶋淳裕のブログ

WPPとFIRE (3)

WPP」と「FIRE」について投稿しています。

 

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WPPは、FIREは、どういう人におすすめすべきなのか?(どういう人にはおすすめすべきでないのか?)」について、現時点の考えをまとめてみました。

 

以下のすべてに該当する人は、是非WPPの実践を!

  1. 就労を阻む健康面の事情がない
  2. 就労を阻む家庭の事情がない
  3. 雇われる働き方に満足している(または、我慢できる)

正規雇用で就労できない事情を抱えている方は、実際には結構いらっしゃると感じています。そのような方々に、軽々しくWPPをおすすめすることはできません。

また、雇われる働き方に苦痛を感じている(感じるようになった)方々に対して、「定年後もできるだけ長く働きましょう(雇われ続けましょう)」とは、なかなか言いづらいです(雇われ続けないと暮らしていけない家計状況であれば、苦痛であっても我慢するしかありませんが)。このような方々は、WPPの「W」を抜いた「PP」でリタイアメントプランニングするのがよいと思います。

 

以下のすべてに該当する人は、FIREも視野に!

  1. 雇われずに生活できるなら(FI)、できるだけ早くそうしたい(RE)
  2. 節約が苦にならず、貯蓄と投資が好きであり、投資においてはおおむね安定的なリターンを得て実際に資産を増やせている
  3. 税・社会保険料を含め、現在の支出を把握・管理できており、今後数10年間の支出をおおむね予想できる
  4. 公的年金私的年金の仕組みを理解している(早期退職することが、将来の年金受給額や、万一の際の障害・遺族給付に及ぼすデメリットを理解している)

1.は、FIREを目指す人の、そもそもの動機ですね。

2.は「節約(貯蓄)と投資の資質・能力」、3.は「支出の管理・予想能力」、4.は(重要度は相対的に低いものの)「日本の年金制度の理解度」を問う要件です。

1.を実現するために必要なスキル・知識・経験が2.~4.である、と考えます。

2.と3.に該当しない方に、軽々しくFIREをおすすめすることはできません。

 

現時点でのまとめ

  • 金融リテラシーに自信がある会社員・公務員で、雇われる働き方に苦痛を感じている方は、FIREを目指すのもよいのではないでしょうか。
    前回書いたように、FIREを目指すことは、結果としてRE(早期退職)に至らなかったとしても、資産形成の進捗を早め、人生の進路選択の幅を広げることにつながると思うからです。
    ミニマリスト指向の方であれば、FIREを実現できる可能性は高いと思います。
  • 金融リテラシーに自信がなかったり、雇われる働き方に苦痛を感じていない方は、WPPを実践しましょう。
    引退後の暮らしを「年金」と「資産の取り崩し」で賄う、すなわち不労所得で生活するという意味では、「PP(私的年金公的年金)」も「FI(経済的自立)」戦術の一つであるといえます
    実際、総務省の家計調査年報などを見ると、高齢夫婦無職世帯の大部分は「年金」と「資産の取り崩し」で生活しています。働かずに生活する。まさにFI(経済的自立)ですね。
  • WPPとFIREの最大の違いは、希望する退職時期がいつなのか、つまり、
    ・定年後もできるだけ長く雇われたいのか?
    ・定年前にできるだけ早く退職したいのか?
    ではないかと考えます。
    「定年後もできるだけ長く雇われたい方」は、国や会社の制度(公助・共助)を最大限に活用してWPPを実践することが、もっとも有効かつ現実的でしょう。
    「定年前にできるだけ早く退職したい方」は、自分の資質や努力(自助)によって、FIREを目指すのもよいでしょう(貯蓄と投資に限っていえば、努力は無駄にはなりません)。

 

WPPとFIRE (2)

WPP」と「FIRE」について投稿しています。

 

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今回は「FIRE」です。

老後資金やライフスタイルをテーマとする会話で「FIREとは何か」を説明できる人は、前回の「WPP」に比べ、はるかに多いでしょう。

私が日常的に接する一般の会社員の間でも、FIREの認知度は高まっていると感じています。

 

FIREとは?

  • FIREは「Financial Independence, Retire Early」の略であり、1990年代前半、米国発祥の考え方です。
    直訳すると、「経済的自立、早期退職」。
    意訳すると、「生活のために働く生き方(他人に雇われる生き方)からできるだけ早く卒業して、残りの人生は金融資産運用(投資)による不労所得で自由に生きよう!」という感じでしょうか。

Wikipediaに記事が掲載されています。 

ja.wikipedia.org

 

FIRE ムーブメント(英: Financial Independence, Retire Early movement)は、経済的独立と早期退職を目標とするライフスタイルを啓蒙するムーブメント。この生活モデルは、ブログ、ポッドキャスト、およびオンラインフォーラムなどで共有されている情報を通じて、2010年代から大きな注目を集め、特にミレニアル世代などに人気が高まった。

FIREを達成するための方法は、収入増や支出減を模索しながら、意図的に貯蓄率を最大化することである。 その目的は、(FIRE達成後の)生涯の支出を賄うのに十分な不労所得を得ることだ。 FIREムーブメントの支持者は、(退職後の資産の取り崩しに関して)4%ルールを提案しており、推定年間生活費の少なくとも25倍の貯蓄目標を設定している。 経済的独立を達成すると、労働所得は付属的となり、標準的な定年よりも数十年早く退職が可能になる。

以下の2つを達成するとFIREを達成できる。

  1.  貯蓄率を高め、生活費25年分を貯蓄する。
  2.  投資のインフレ調整後の利回りを4%以上にする。

 

私の解釈で要約すると、FIREは次のような考え方です(説明の単純化のため、「インフレ率調整」と「運用益課税(譲渡益課税)」の考慮を除外しています)。

  1. 自分が投資で長期にわたって実現できそうな期待リターンは、平均すると何%か?
    例:仮に年率4.0%としましょうか。
  2. 今後数10年間に自分の世帯で予想する支出を1年に平均するといくらか?
    例:とりあえず400万円/年としてみます。
  3. FIREするために必要な投資元本(FIRE元本)はいくらか?
    =上記2.÷上記1.
    例:400万円÷0.04=1億円
  4. 上記3.のFIRE元本(例:1億円)を作るために、支出を管理して節約し、貯蓄と投資に励もう!
  5. 上記3.のFIRE元本(例:1億円)が作れたら、FIREしよう!
    ・FIRE後は、1億円を毎年4.0%で運用し、毎年400万円取り崩して暮らす
    ・やりたかった仕事や趣味に挑戦するもよし、社会貢献に精を出すもよし
    ・終末期は、1億円を使い切るのもよし、遺すのもよし 

 


 

私は、WPPに賛同する一方で、FIREにも賛同します。

FIREを目指すことは、結果としてRE(早期退職)に至らなかったとしても、資産形成の進捗を早め、人生の進路選択の幅を広げることにつながると思うからです。

ただ、FIREは、明らかに日本の現役世代全員に向くものではありません。

「FIREはどういう人に向く考え方なのか?(どういう人には向かない考え方なのか?)」を、WPPと併せてときどき考えています。

 

次回はWPPとFIREの「向き・不向き」について投稿します。

 

WPPとFIRE (1)

この数年、気になっている「WPP」と「FIRE」について投稿します。

 

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まずは「WPP」です。

老後資金をテーマとする会話で「WPPとは何か」を説明できる人は、日本の年金制度に関係するお仕事の方か、WPP考案者の著作を読まれた方でしょう。

以下は私がWPPを、一般の会社員に対して説明するときに使っている表現です(WPP考案者オリジナルの文言とは異なる表現もあると思いますが、ご容赦ください)。

 

WPPとは?

  • WPPは「Work longer, Private pension(s), Public pension(s)」の略であり、2018年、谷内陽一氏(当時:りそな銀行)が日本年金学会に発表した「会社員・公務員が老後資金不安を軽減するための考え方(対策・方策)」のこと

  • Work longer」の意味
    定年後も、できるだけ長く働こう!(できれば厚生年金保険に入る働き方で)

  • Private pension(s)」の意味
    引退後の数年間は、DC(確定拠出年金)などの私的年金や「じぶん年金(資産の取り崩し)」で暮らそう!

  • Public pension(s)」の意味
    公的年金の受け取り開始をできるだけ遅らせ(繰り下げ)、増やした公的年金で高齢期を暮らそう!

 

  • WPPは「野球の投手」に例えて説明されることが多い
    (以下の年齢表記は、あくまでも例です)
  • 先発 = Work longer
    例:60歳の定年で引退せずに65歳まで働き、できるだけ資産を取り崩さず、減った給与の範囲で生活する
  • 中継ぎ = Private pension(s)
    例:引退後の65歳から70歳までは、私的年金の受け取りと資産の取り崩しで生活する
  • 抑え = Public pension(s)
    例:70歳以降は、繰り下げて増やした公的年金で生活する

具体的な金額を例示すればもっとわかりやすくなりますが、世帯によって額がかなり異なり、誤解を生じかねないため割愛します。

是非、試算してみてください。

 


 

私自身はWPPのことを、一次資料(日本年金学会)ではなく、2019年11月に開催されたDCプランナー資格更新研修会で知りました(講師の一人である厚生労働省 年金局 年金課長が、受講者席にいる谷内氏を壇上から視認し、アドリブでWPPを紹介してくれました)。

私はWPPに賛同します。

多くの会社員・公務員に適用できる(適用すべき)考え方だと思います。

ただ、WPPは、日本の現役世代全員に向くとまではいえない、とも感じており、「WPPはどういう人に向く考え方なのか?(どういう人には向かない考え方なのか?)」をときどき考えています。

 

次回はFIREについて投稿します。

 

格安SIMカード切り替え 後日談

私は今年(2021年)2月、スマホiPhone)の通信事業者を大手キャリア(au)からMVNO格安SIMカード(mineo)へ切り替えました。

切り替え後の使用感と、切り替え前後(2020年11月分から2021年6月分まで)の料金について投稿します。

 

関連記事:

 

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使用感

  • データ通信速度の低下は感じられませんでした
    ただ、私はもともとスマホスーパーライトユーザーであり、外出先で動画の視聴などはしないため、ヘビーユーザーの参考にはなりません。
    自宅Wi-Fi環境は、
    スマホWi-Fiルーター: 11ac(BF)/a/g/b/n 5GHz (866Mbps前後)
    Wi-Fiルーター~プロバイダー: FTTH 1GB
    です。
  • 音声通話についても違和感は感じられませんでした
    ちなみに、LINE以外で自分から電話するときは、相手がフリーダイヤル等でない場合、通話料金が安くなる「mineoでんわ」アプリから架電するようにしています。
    「mineoでんわ」アプリを使う前は、キーパッドから電話番号を入力させるような操作性の悪さを覚悟していましたが、実際にはiCloudの「連絡先」の登録内容が表示されるため、心配は杞憂に終わりました。
    相手が受電する際、どのような電話番号が表示されているのかは聞いたことがありませんが、架電する側としてはまったく支障ありません。

料金(機器代金を除く電話料金[税込])

下記、料金比較の期間(2020年11月分から2021年6月分まで)は、隣の市に数回行っただけで、都内の勤務先には一度も通勤しておらず、飲み会もゼロでした。

行動パターン、行動範囲はコロナ前と大きく異なります(ニューノーマルとして、今後も続きそうですね...)。

切り替え前(au)の利用料金

  • 11月:私2,796円 + 妻4,870円 = 7,666円
  • 12月:私2,730円 + 妻5,118円 = 7,848円
  • 1月:私3,850円 + 妻8,165円 = 12,015円
  • 二人分の3カ月平均は、9,176円/月でした。①

 

切り替え月(2月)の利用料金

  • au:私7,216円 + 妻7,383円 = 14,599円
    MNP転出予約手数料・契約解除料4,400円/人がなかったとすると、
      私2,816円 + 妻2,983円 = 5,799円
  • mineo:私4,661円 + 妻4,661円 = 9,322円
    → 契約事務手数料・SIMカード発行料3,740円/人がなかったとすると、
      私921円 + 妻921円 = 1,842円

切り替え後(mineo)の利用料金

  • 3月:私278円 + 妻278円 = 556円
    → キャンペーン割引1,188円/人がなかったとすると、
      私1,466円 + 妻1,466円 = 2,932円
  • 4月:私408円 + 妻394円 = 802円
    → キャンペーン割引1,188円/人がなかったとすると、
      私1,596円 + 妻1,582円 = 3,178円
  • 5月:私278円 + 妻610円 = 888円
    → キャンペーン割引1,188円/人がなかったとすると、
      私1,466円 + 妻1,798円 = 3,264円
  • 6月:私1,466円 + 妻1,605円 = 3,071円 
  • キャンペーン割引(3カ月間)を無視すると、
    二人分の4カ月平均は、3,111円/月となりました。②
  • また、切り替えに要した二人分の各種費用16,280円(au+mineo)のうち、
    7,128円は、mineoのキャンペーン割引で補填された形です。

 

切り替えの節約効果

  • サンプル数は少ないものの、上記①と②をもとに試算すると(①-②)、
    家計(キャッシュフロー)を1カ月で5,000~6,000円改善できそうだ
    ということになります。
    ・1年で、約60,000~72,000円
    ・10年なら、約60万~72万円
    です。

なお、mineoのデータ通信容量は5GB/月の契約ですが、夫婦とも5GBは使い切れていません。

 


 

数カ月前、「この1年で、菅内閣総理大臣の主導により、東京の携帯電話料金は先進国の主要都市の中で2番目に安くなった」旨の報道がありました。

この報道が正しいか否かについては専門外のためコメントできませんが、大手キャリアから格安SIMカードへの切り替えは「おすすめ」といえるでしょう。

切り替えの手間はかかりますが、まだの方は検討してみてはいかがでしょうか。

 

個人向け国債から撤退します

私は「個人向け国債(変動10年)」を、2013年12月と2015年6月に400万円ずつ購入しました。

購入した理由は以下のとおりです。

  • 「個人向け国債」は、いつ売却(中途換金)しても元本割れしない。

  • 銀行預金と異なり元本の全額が事実上保証され、0.05%以上の金利が必ず付く
    = リスクフリー & ローリターン
    (個人向け国債金利は、個人にとっての「リスクフリーレート」といえる)。

  • 預金金利が限りなくゼロに近い時代に(または金利上昇の局面で)個人向け国債を購入するなら、「固定金利型(満期3年または5年)」よりも「変動金利型(満期10年)」を選ぶほうが合理的。

参考記事:2018-10-13「国内債券投資「代替」としての個人向け国債

 

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昨夜、個人向け国債全額の中途換金を指図しました。

  • 同居していた父が昨年(2020年)12月に亡くなり、遺産分割協議の結果、約2,350万円の債務を私が単独で承継した。
    返済額は毎月20万円強。完済年月は2030年12月(残り10年のタイミングで相続)。
    他方、私は1年半先には退職し(2023年3月)、その後の収入は激減する。
     ↓
    今時点の方針としては、相続した借入金を私の退職前に繰り上げ完済すべく、これまで運用してきた金融商品の一部を段階的にキャッシュ化し、来年(2022年)11・12月頃に繰り上げ完済する目標を設定。
    個人向け国債(変動10年)800万円は、中途換金して返済原資の一部に充てる。

 

というわけで、個人向け国債(変動10年)から撤退します。

繰り上げ完済の目標時期が1年以上先であるにもかかわらず、今、中途換金する理由は次のとおりです。

  • 結果として国内の金利は、上昇するどころか、2016年、民間銀行の日銀当座預金の一部に対し、マイナス金利政策が導入された。
    足元の状況を見ても、米国はともかく、国内の金利が今後1年間で上がるとは思えない
    年金業界においては、「金利上昇リスクへの対応」が流行り言葉の一つでした[苦笑...]。
    企業年金関係者向けの有料セミナーで、受講者からの質問に対し、主催者である企業年金連合会の講師が「金利上昇リスクに対応するのは、実際に金利が上がり始めてからでいいんじゃないですか」と答えていたことを記憶しています。
    そのときはのんびり感のある回答に疑問を感じましたが、数年たってみれば正解でした。


  • 私が保有してきたこれまでの間、個人向け国債金利は下限の0.05%にほぼ張り付いてきたが、現在、私が利用している銀行の中には、普通預金で0.1%を提示しているR銀行や、定期預金(1年)で0.13%を提示しているS銀行がある
     ↓
    個人向け国債の利金は損益通算でき、銀行預金の利息は損益通算できないという税制上の違いはあるものの、所詮は極めてわずかな額。
    であるならば、流動性がもっとも高い金融商品である普通預金のほうが、使い勝手がよい(ペイオフで保護される額をあまり超えないよう、気にしておくとして)。

  • 毎年の確定申告の手間(入力項目)を、できれば減らしたい(私の場合、1月と7月に個人向け国債の利金を得るので、今年末までにすべて換金すれば、個人向け国債に関する申告の手間は次回の確定申告で終わる)。

 


 

ソーシャルレンディング投資からの順次撤退と併せ 、返済原資を1,000万円弱、確保しました。

残り、1,000万円強です...。