あなたの家計は 100歳まで もちますか?

独立系FP 福嶋淳裕のブログ

予定納税額通知書が届きました

6月17日、所轄の税務署長から「予定納税額の通知書」が届きました。

「ごく近い将来、所轄の税務署長から予定納税の通知が届くのかもしれません」と4月20日に投稿していた件ですが、予想どおりになりました。

 

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同封の書面によると、

予定納税とは、一定の要件を満たす方が、令和4年分の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納付しなければならないという制度です。

とされており、給与・賞与からの源泉徴収と同様、好むと好まざるとにかかわらず、「所得税を前払いしなければならない」とのことです(期限までに納付できなかった場合の延滞税についても明記されていました)。

具体的には、令和3年(2021年)分の確定申告の結果として2022年4月に納税した所得税額のおよそ3分の2を、令和4年(2022年)分の所得税として8月と11月の2回に分けて前納し、確定申告で過不足を精算する、という流れです。

 

まぁ確かに、年に一度、4月に一括納付するのに比べれば負担感は分散されますが、このところ急激な内外の「株安、REIT安」、現役世代の多くが初体験する本格的な「物価上昇(生活費高騰)」、さらには「菩提寺からの寄付のお願い」などでモヤモヤしている中、追い打ちをかけられた感もあります。

粛々と振替納税を手続きします...。

 



予定納税とは:

www.nta.go.jp

 

資産所得倍増プラン

各種報道でご存じのとおり、6月7日、「経済財政運営と改革の基本方針2022(通称、骨太の方針2022)」が閣議決定されました。

個人投資家の多くが心配していたであろう「金融所得課税」の文言は見当たらず(いったん封印しただけなのかもしれませんが)、耳触りのよい「資産所得倍増プラン」が盛り込まれています。

ひとまず警戒を緩めてよいのかもしれません。

 

 

骨太の方針2022における資産所得倍増プランの記述は、これから見返すこともあると思いましたので引用しておきます(太字修飾は福嶋が付加)。

 

第2章 新しい資本主義に向けた改革

1.新しい資本主義に向けた重点投資分野

(1)人への投資と分配

(「貯蓄から投資」のための「資産所得倍増プラン」)

我が国の個人金融資産2,000 兆円のうち、その半分以上が預金・現金で保有されている。

投資による資産所得倍増を目指して、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充や、高齢者に向けたiDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革、国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など、政策を総動員し、貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進める。

これらを含めて、本年末に総合的な「資産所得倍増プラン」を策定する。

その際、家計の安定的な資産形成に向けて、金融リテラシーの向上に取り組むとともに、家計がより適切に金融商品の選択を行えるよう、将来受給可能な年金額等の見える化、デジタルツールも活用した情報提供の充実や金融商品取引業者等による適切な助言や勧誘・説明を促すための制度整備を図る。

 

内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2022」

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2022/decision0607.html

 


 

NISAもiDeCoも今まさに数年がかりの制度改正、順次施行の真っ最中なので(下記の関連記事をご参照ください)、「資産所得倍増プラン」は、それらが終わってからの話になるのだろうと個人的には予想しています。

私の希望は次の4点です。

  • NISAの時限措置を撤廃し恒久化を!
    制度を恒久化せずに「資産所得倍増プラン」などと言われても、不安が残ります。政権がリーダーシップをもって財務省を説得できれば実現可能でしょう。

  • つみたてNISAでも新NISAでもなく、一般NISAへの原点回帰(制度一元化)を!
    つみたてNISAの新設にあたって対象商品を絞った意義には大いに賛同し、「金融庁はいい仕事をした」と本当に思っています。とはいえ、個人が自分のお金で投資する以上、何を買うかは本来、自由に(自己責任で)選べるべきです。
    また、新NISAは、2階建て化により仕組みが複雑になります。金融資産運用に詳しい人ほど、嫌がっているのではないでしょうか。
    誰もがわかりやすいシンプルな一般NISAに原点回帰する方向で、NISA制度を一元化しましょう(恒久化すれば、わかりにくいロールオーバーも不要になります)。

  • iDeCoの拠出限度額は、働き方や勤務先の企業年金制度に関係なく、単一に!
    格差助長批判に過度に敏感になって拠出限度額を細かく区別するのはやめて、誰もがわかりやすいシンプルな制度にしましょう。iDeCoを紹介する立場としても、拠出限度額を説明する際のわかりにくさには毎回悩まされています。

  • iDeCoにも関係する「特別法人税」の撤廃を!
    一般のメディアではめったに取り上げられませんが、凍結を繰り返しながらいつ爆発するかわからない、この爆弾を処理することが最重要かもしれません。政権がリーダーシップをもって財務省を説得できれば実現可能でしょう。

数年後に実現するでしょうか?

今後も動向を観測し、投稿していきます。

 

関連記事:

2021-05-01 NISAの改正動向

2021-04-11 私的年金の改正動向

 

富裕層、アッパーマス層とは?

「富裕層」という言葉は世間で普通に使われています。

「アッパーマス層」などという言葉もお聞きになったことがあるかもしれません。

このところ裕福な世帯からの相談が続いたことをきっかけに、言葉の意味を調べてみました。

トリビア、豆知識として紹介します。

 

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  • Capgemini(キャップジェミニ
    "WORLD WEALTH REPORT 2020"


    High-Net-Worth Individuals (HNWIs) are defined as those having investable assets of USD1 million or more, excluding primary residence, collectibles, consumables, and consumer durables.
    富裕層(HNWI)とは、主たる住居、収集品、消耗品、耐久消費財を除き、100万米ドル以上の投資可能な資産を持つ個人と定義。

    For the purposes of our analysis, we separate HNWIs into three discrete wealth bands:
    Millionaires next door: those with USD1 million to USD5 million in investable wealth
    Mid-tier millionaires: those with USD5 million to USD30 million
    Ultra-HNWIs: those with USD30 million or more
    分析のため富裕層を3つに分ける。
    Ultra-HNWI:投資可能な富が3,000万米ドル以上
    Mid-tier millionaires:500万米ドルから3,000万米ドル
    Millionaires next door:100万米ドルから500万米ドル

    https://www.capgemini.com/nl-nl/wp-content/uploads/sites/7/2020/07/World-Wealth-Report-WWR-2020.pdf

 

 


 

富裕層のことを欧米ではHNWIと表記するそうです。

土地や建物、自動車・船舶、美術品・宝石などを除いて、「金融資産 100万米ドル ≒ 1億円」がHNWI・富裕層の入り口である、ということなのでしょう。

 

ところで、「Ultra-HNWI」は「超富裕層」、「Mid-tier millionaires」は「中間層の百万長者」でよいと思いますが、「Millionaires next door」はどう訳せばよいのかわかりませんでした。どなたか教えていただけると嬉しいです。

 

確定拠出年金(DC) 改正 再々考

確定拠出年金(企業型DC、個人型DC[愛称 iDeCo])の改正項目が順次施行されています。

前回書ききれなかった「60歳定年後の企業型DCからiDeCoへの年金資産移換」について、まとめてみました。

 

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前提:

次のすべてを満たす人がいるとします。

  • 企業型DCに加入している会社員。
  • 勤務先の定年は60歳。
  • 定年後、65歳(またはそれ以上の年齢)まで再雇用(継続雇用、雇用延長)選択可能。
  • 企業型DCの規約により、企業型DCの加入者資格は60歳到達時に喪失する。

60歳になった人のこれまでの受け取り方:

「前提」に該当する人の受け取り方は、今まではほぼ全員、次のうちのいずれかでした。

  • 60歳到達(加入者資格喪失)後、規約に定められた年齢(70歳など)に達するまでの任意の時期に、企業型DC運営管理機関宛てに一時金の給付を請求する。
  • または、年金の給付を請求する。
  • または、規約上可能であれば、一時金と年金を組み合わせた給付を請求する。

60歳になった人の新たな受け取り方:

「前提」に該当する人は、前項の選択肢(企業型DC運営管理機関から、一時金または年金を受け取る)に加え、次の受け取り方が可能になりました。

いわば、「雇用延長+DC積立延長」プランです。

  • 60歳到達(加入者資格喪失)後、企業型DCの年金資産をiDeCoに移換する。
    移換した現金と、65歳に達するまで自身で拠出する掛金を原資として、確定拠出年金資産の運用をiDeCoで継続する。
    給付の請求は、iDeCo運営管理機関の規約に従って任意の時期に行う。

この新たな選択肢を使える人(検討する意味のある人)の例

  • 65歳までは厚生年金に加入する働き方を続けるだろう。
    【現在の勤務先での再雇用、他社への転職など】
  • かつ、65歳まで自身で掛金を拠出して、確定拠出年金資産(65歳以降の受取額)をさらに増やしたいと思っている。
  • かつ、移換に伴う時間的な不安はない。
    (・企業型DC資産現金化のタイミング
     ・数カ月に及ぶ移換期間の機会損失
     ・移換金のiDeCo再投資タイミング
     に伴うリスクを許容できる)

この新たな選択肢を使えても(使いたくても)短期間※の人の例

  • 60歳定年後、厚生年金に加入する働き方はしないだろう。
    個人事業主、短時間のパート/アルバイト、不労所得のみ、など】
  • かつ、60歳定年後の一定期間※、国民年金に任意加入するつもりである。

 ※学生時代(20歳到達から就職するまで)の国民年金未加入期間など。

 


 

DCもNISAも公的年金も、いろいろと変わっていきます。

生年月日や職業、就労条件など自身の属性に応じて、制度変更の恩恵をタイミングよく享受できる方々もいれば、そうではない方々も多いことでしょう。

 

関連記事:

2021-04-11 私的年金の改正動向

2022-04-10 確定拠出年金(DC) 改正 再確認

 

お寺から100万円寄付のお願い!

先日、菩提寺から封書が届き、開けてみたところ、新本堂建設のための寄付のお願いでした。

「貴家におかれましては
 一金、壱百萬円以上を目安に
 ご寄付のご検討を宜しくお願い致します。」

とのことです。

ゆうちょ銀行の払込用紙も同封されていました。

 

寄付のお願いがいずれ来ることは知っていましたが、これほどの高額を明示されるとは...。

 

調べたところ、所得税・住民税の寄附金控除の対象にはならないようです(残念!)。

はてさて...。

 



一定の寄附金を支払ったとき:

www.nta.go.jp

 

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