あなたの家計は 100歳まで もちますか?

独立系FP 福嶋淳裕のブログ

"70歳まで現役"法案、可決成立

3/31、高年齢者雇用安定法などの改正法案が参院で可決し、同法は成立しました。

これまでこのブログに投稿してきたように、「高齢者が希望すれば70歳まで働けるよう、企業に『努力義務』を課す」ものです。

公的年金の給付水準(所得代替率)の低下や健康で長生きする高齢者の増加を見据え、高齢者が働きやすい環境を整えるのが狙いであり、2021年4月から施行されます。

 

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法律には就業機会を確保する方法として、これまでの定年延長・廃止、継続雇用(再雇用)などの選択肢に加え、フリーランス契約への資金提供や起業支援、社会貢献活動参加への資金提供といった手法を追加し、いずれかの方法で環境整備するよう企業に求めるものです。

さて、あなたやあなたのご家族がお勤めの会社は、どう対応していくのでしょうか。

特に50代の方は注意して見ていきましょう。

 

www.nikkei.com

 


 

過去記事:

2019-05-18 70歳雇用、企業に努力義務?

freespirit1979.hatenablog.com

2020-02-05 "70歳まで現役"法案、閣議決定

freespirit1979.hatenablog.com

 

GPIF 基本ポートフォリオ変更

疾病による史上初の緊急事態宣言まで発出されたコロナショックの中、「投資の話題はいかがなものか」などのご意見もありましょうが、中長期的な視点で投稿します。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、日本の国民年金と厚生年金の積立金の管理・運用を担当する、世界最大の年金基金です。
あまりの巨大さから、俗に「クジラ」とも呼ばれています。

GPIFの年金資産運用の基本的な考え方は、分散・長期投資の王道ともいえ、個人にとっても老後資金形成の参考になります。

2020/3/31、GPIFは新しい「基本ポートフォリオ」を公表しました。

 

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分散・長期投資を前提としたポートフォリオを構築するとき、運用するアセットクラス(資産区分)ごとに配分比率の目標を設定することを、個人投資家は「アセットアロケーション」といいますよね。

他方、機関投資家のうち、公的年金企業年金などいわゆる年金基金では、「政策アセットミックス」「政策的資産構成割合」「基本資産配分」などといいます。GPIFはこれを「基本ポートフォリオ」といっています。

資産区分ごとに設定した配分比率の目標、という意味ではどれも同じです。 

なお、通常、配分比率の目標と同時に、「乖離許容幅」(「許容乖離幅」「許容範囲」)も決めます。

GPIFの基本ポートフォリオの今回の主な変更内容は次のとおりです。

 

旧:2019年度まで

資産区分 目標の比率 乖離許容幅
国内債券 35% ±10pt
国債 15% ±4pt
国内株式 25% ±9pt
外国株式 25% ±8pt

 

新:2020年度から(5カ年)

資産区分   目標の比率 乖離許容幅  
債券 国内債券 25% ±7pt  「国内債券+外国債券」の乖離許容幅 ±11pt
  国債 25% ±6pt  
株式 国内株式 25% ±8pt  「国内株式+外国株式」の乖離許容幅 ±11pt
  外国株式 25% ±7pt  

 

  • 伝統4資産(内外の債券と株式)の均等配分に!
    (割と単純ですな。 -笑-
    アセットアロケーションに興味やこだわりがない人であれば、伝統4資産均等配分のバランス型投資信託はたくさんありますので、その中から良質なものを選べばOK、正解の一つ、ともいえます)
  • 乖離許容幅は、外国債券は拡大、他の3資産は縮小
  • 新たに内外資産を併せた「債券」「株式」の区分を設け、それぞれ11ポイントの乖離許容幅を設定

 

  • 旧・基本ポートフォリオにおいては、国内債券の目標比率は35%でしたが、ご存じのとおり日銀の金融政策の結果、国内債券の利回りは低下し、リターンを期待できる国内債券は減少していました(というか、「なくなった」に近い状況でした)。
    これによりGPIFの国内債券の実際比率は、乖離許容幅を考慮した下限(25%)近くまで一時低下。
    2018年9月には、基本ポートフォリオの対象外だった短期資産(個人でいえば、「預金」)を国内債券と合算することで国内債券の比率を満たすように計画を変更しました(これについては当時、このブログに投稿しています)。
    さらに2019年10月には、為替ヘッジ付き外国債券を国内債券枠に算入するなど、GPIFは国内債券枠の実質的な見直しを進めていました。

 


 

www.gpif.go.jp

 

www.nikkei.com

 

ある会社員の金融資産残高推移(1999/4/30~2020/3/31)

つい先日の2月中旬まで、昨年来の好調な相場が続いていましたが、その後、まさかのコロナショック...。

2月高値から見た私のドローダウンの額は、3月某日、DCを含めて一時1,000万円を超えました。(>_<)

この額は、私のポートフォリオのVaR(Value at Risk:最大損失想定額)におおむね一致する額です。

  • 自分で計算した「期間1年間に確率99%の範囲内で発生するVaR」です。
  • 「100年のうち1年の生起確率」で計算したので、もし、来年の2月が今年3月と同じ水準であれば、まさに「100年に一度の事態」といえます。


さて、時季が来ましたので、あまり気が進みませんが (-_-) 、私の金融資産残高の推移を3カ月ぶりに点検しました。
3カ月前の記事を複製したうえで、今回更新した数字の色はにしています

 

家計における「金融資産」の定義:

現金・預金、株式・出資金、株式以外の国債投資信託などの証券、金融派生商品、保険準備金・年金準備金、ゴルフ場への預託金などの預け金等、対外証券投資を含む対外債権等

出典:フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』


この記事における「金融資産」の前提:

  • 現金のほか、銀行, 証券会社, ソーシャルレンディング会社の口座残高です。私名義の金融資産に限定し、パート・アルバイト収入がわずかにある配偶者のものは含みません。
  • 貯蓄型の生命保険や個人年金保険は持っていません。
  • 「企業型DC(確定拠出年金)」の残高を含めるか否かについては、分析の趣旨によって変えています。

 

 

1. 私の投資手法

2001年からさまざまな投資・投機を試行錯誤し、数々の大失敗を経験。
リーマンショックなど、紆余曲折を経てたどり着いた投資手法は、

です。
私はこれを資産運用の中心・中核(コア戦略)とし、「分散・節税・低コスト投資」と呼んでいます。

成果を感じ始めたあと、理論的な裏付け・確証を得るため資産運用に関連する資格を取得したり、偶然、年金基金の運営に携わることになったりした結果、「一般個人の金融資産運用と年金基金の年金資産運用は、税制や金融商品の違いを除けば本質的には同じである」という結論に達しました。

プロ向け(機関投資家向け)資産運用ビジネスの業界では、「年金基金による年金資産運用が資産運用の標準的な方法」とされています。
であるならば、一般個人も、年金基金の運用基本方針を理解したうえで資産運用するほうがよいと思いませんか?

「分散・節税・低コスト投資」は、

  • 「世界各国の年金基金の多くが何らかの形で採用している現代(近代)ポートフォリオ理論と、日本国内の個人向け税制優遇措置(DC, NISA)の要点を理解し、
  • アセット アロケーション(資産の配分)とアセット ロケーション(資産の置き場所)が『そこそこ』適切であれば、合理的に資産形成できるはずだ」という考えに基づき、
  • 「インデックス型の投資信託を買い増していく」

という、単純かつ手間のかからない投資手法です(節税と乗り換えの目的で売却することはあります)。

なお、私の運用目的は「老後資金形成」です。

「長生きしたい」とか「(金銭的な意味で)贅沢したい」などの気持ちはないのですが、「将来、自分または配偶者が想定以上に長生きしてしまっても、お金に困ることがないよう、無理のない範囲で準備しておきたい!」、ただそれだけです。

 

2. 資産配分比率(20203月末)

資産区分 3カ月前の
比率
今回の
比率
連動を目指す指数
①国内株式 15% 14% 日経225, TOPIX
②先進国株式 15% 13% MSCIコクサイ
③国内REIT 12% 13% 東証REIT
④先進国REIT 14% 11% S&P先進国REIT
安全資産 45% 49%  

企業型DCを含みます。
(企業型DCを含めて1つのポートフォリオだから)

  • ①~④はリスク資産で、それぞれ単一または複数のインデックス型投資信託によって構成されています。
  • 安全資産の内訳は、「現金」「預金」「個人向け国債(変動10年)」「ソーシャルレンディング会社の口座残高」です。
  • ソーシャルレンディング投資にリスクがあることは承知のうえで、「価格(時価)」という概念がないことから、便宜上、安全資産に区分しています。
  • 3月は通常の「積立投資(一般NISA)」と「DC出口戦略(企業型DC→特定口座)」に加え、「損出しクロス取引とリバランス」を兼ねた「追加投資(特定口座)」を積極的に行いました(下記 3. (1) ① のとおり、3カ月で830万円売り、1,030万円買いました)。
  • これに伴い、上記④は、これまではS&PグローバルREIT連動の投資信託が混在していたため(新興国REITを少々含むという意味で)「④ほぼ先進国REIT」としていましたが、今回、当該の投資信託を売却し、S&P先進国REIT連動の投資信託に一本化できました。
  • 3月は特にREITクラスが記録的なボラティリティだったため、売りと買いの結果、月末時点での資産配分比率は少々いびつになっています。

 

3. 年間運用損益(2020/1/1~3/31

リスク資産(投資信託)は、次の2カ所に置いています。

  • SBI証券の特定口座とNISA口座
    直販投信を含め、以前は複数の金融機関で投資信託を運用していましたが、2011年までにSBI証券1社に集約しました。
  • 企業型DC
    2004年に勤務先が導入し、加入しました。


以下、運用損益を「トータルリターン」で測定してみます。

トータルリターン = ①評価金額 + ②累計受取分配金額 + ③累計売付金額 - ④累計買付金額

 

(1) コア戦略

前述の「1. 私の投資手法(分散・節税・低コスト投資)」です。


SBI証券における年間トータルリターン

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②企業型DCにおける年間トータルリターン

私が加入している企業型DCの運営管理機関は投資信託のトータルリターンを提供していませんので、自分で計算しました。表の体裁はSBI証券に合わせています。

  • 下の表のDは掛金の額です。
  • DC出口戦略」に基づくスイッチング(投資信託の売りと定期預金の買い)は、BとDに表示していません。

A評価金額 B累計売却金額
C累計分配金額
D累計買付金額
E前年末評価金額
トータルリターン
(A+B+C)-(D+E)
2020

5,525,401

0
0
37,800‬
7,191,046
-1,703,445‬‬
-23.69%

 

(2) サテライト戦略

コア戦略以外の取引や保有分をサテライト戦略と称しています。

内容 実現損益
(税引前)
現在の運用状況
株式(現物)の短期売買 - なし
個人向け国債(変動10年)の利金 2,000 運用中(元本 800万円)
ソーシャルレンディングの分配金 22,625 運用中(元本 約180万円)

 

4. 金融資産残高の推移(1999/4/30~2020/3/31

レバレッジをかけた資産や外貨建て資産を含めたこれまでの運用成績を、まとめて(1枚で)お見せする良い方法を思いつきません。

そこで、収入や支出、負債の返済、リスク資産の値動き等々、私のすべての経済的活動の結果である「金融資産残高の推移の棒グラフ(月次)」を掲載します。

 

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中央の囲みが2008年秋のリーマンショックで、右上の囲みが今回のコロナショックです(ちなみに、リーマンショックより以前に高さが急に短くなっている棒が数本ありますが、これらは住宅ローンの繰り上げ返済による金融資産残高の減少です)。


1本の棒の高さは、その月の末日時点の金融資産残高を表しています。

この金融資産には、企業型DCを含みません。
(企業型DCの掛金は収入[給与所得]ではなく、
出金もできないアンタッチャブルな資産だから。
将来、受給時に収入計上[退職所得 or 雑所得])

したがって棒の高さは、その月の

  • 収入(ほぼ給与のみ、月によっては賞与も)
  • 支出(税・社会保険料、住宅ローンの返済を含む、すべての支出)
  • 運用損益(実現損益+月末の時価による評価損益)

によって変動します。

ただ、給与・賞与は、暦年でみると、(会社の経営事情によりガクンと下がった2012年を除けば)この約20年の間、それほどは変わっていません(涙)。

給与・賞与収入が(2012年以外は)おおむね同じ水準だったということは、棒の高さの中長期的な変動要因は、

  • 支出の(内容や金額の)変化= 貯蓄率の変化

    住宅ローンや子どもの教育費など

  • 運用損益(実現損益+評価損益)

といえます。

 

参考になるかどうかわかりませんが、「ある会社員の家庭の実例」として投稿しました。

 

なにはともあれ、コロナショックの早期終息を祈ります...。

 

 

所得税、還付されました

3/2、e-Taxで確定申告したところ、本日(3/23)、還付を受けました。

 

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確定申告で初めてe-Taxを利用した2年前は、

  • 申告:2018/2/12
  • 還付:2018/3/2

 

1年前は、

  • 申告:2019/2/24
  • 還付:2019/3/11

 

e-Tax 3回目の今回は、

  • 申告:2020/3/2
  • 還付:2020/3/23

となりました(今回の還付金額は107,907円と、そこそこの額でしたが、今月の相場では『焼け石に水』です...。 ^^; )。

 

国税庁 確定申告書等作成コーナー」のシステム仕様が毎年改善されていることにはかなり前から気づいており、感心しています。

今回は「マイナポータル」との連携が案内されていたので、さっそく登録してみました。

 

損出しクロス取引とリバランス

「コロナショック」。

私は2/28(金)に「買い下がり」を開始し、3/6(金)、3/9(月)、3/11(水)と続けてきました。

テクニカルにはどう見ても売られ過ぎオーバーシュートであるにもかかわらず、下げ止まりませんね。

昨日3/12(木)から、単なる買い増しだけでなく「損出しクロス取引」も組み合わせ始めました。

いま、前場が引けたところでこの記事を書いていますが、このままいけば本日3/13(金)も実施することになりそうです。

 

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私は、投資信託を定時定額で購入する「積立投資」以外に、内外の株価指数や米ドルなどの下落局面で投資信託をちびちびと買い増す(買い下がる)ことがあります(「積立投資」に対し、「追加投資」と呼んでいます)。

 

下落局面においては、比較的最近積み立て始めた投資信託などに評価損が発生してくることがありますよね。

評価損は目障りですが(笑)、いつが「底」かはあとにならないとわかりませんので、余裕資金の範囲で少しずつ買い増しを続けるのがよいでしょう。

 

私の場合、毎年12月前半に行う「師走モニタリング」(私の造語です)の結果として、「損出しクロス取引」兼「リバランス」を行うことがあります。

「リバランス」はご存知でしょうから、「損出しクロス取引」について簡単に補足します。

 

私の「損出しクロス取引」は、「特定口座において評価損が発生している投資信託について、『全額売却注文』と『おおむね同額の買付注文』を同時に出す」ことです。

目的はいくつかあります。

  • 将来(3年以内)の特定口座における節税原資となることを期待して、損失を稼いでおきたい(確定申告で損失を繰り越します)。
  • ほぼ毎日見てしまう評価損益の見栄えを改善したい(笑)。

 また、場合によっては次のような目的もあります。

  • 買付金額を調整(通常は、予想売却約定額より多めに)することで、リバランスを図りたい。
  • ベンチマークが同じで分配実績がなく、より低コストな投資信託が出ていれば、そちらに乗り換えたい。

「損出しクロス取引」は、毎年ではなく、まれに行う取引ですが、今回のコロナショックでは久しぶりに評価損の銘柄が出現して見栄えが気になってきたため(笑)、まだ3月ですが実施することにしました。

 

3/1の記事に、

普通の「急落」、上昇トレンドにおける「調整」であれば、2/28から3月上旬あたりが「底」になる可能性が高いと判断したうえでの買い下がり開始です。

しかしながら今回の下落は、今までに経験がない要因によるものであるため、長期戦になるかもしれません。

と書きました。

すでに3月も中旬ですが、ボラティリティはますます高まっています。

体感的には「2008年のリーマンショックよりも厳しい」と感じ始めていましたが、ここにきて「1987年のブラックマンデー」と比べるコメントもちらほら報道され始めました。

 

さて、どうなるか。見ていきましょう。